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生前物 ガボール(Gabor)
ガボールの生前物という表現をよく目にします。興味のない方には、なんのことかさっぱり分からないと思いますが、これはブランド創設者のガボールが生きていた時に作られた作品ということです。
1953年にハンガリーで生まれた彼は、10代半ばから銀細工を学び、工房で約10年の経験をつんだ後にフリーデザイナーとして独立、20代半ばにアメリカに渡ります。
そして「アクセサリーは女性がつけるもの」という当時の常識を覆して、あえて男性用アクセサリーの製作に踏み切り、斬新でオリジナリティ溢れる作品を次々に世に送り出していったのです。
スカル等をモチーフにしたその独自のデザインやハンドメイド仕上げの精巧さは、世界中に熱心なファンを生みました。アイテムに彫られている「Gaboratory(ガボラトリー)」というのは彼のアトリエ名で、自身の名「Gabor」と「Laboratory(実験室)」を組み合わせた造語です。
1999年1月、45歳で心不全により急逝したことで、彼は永遠のカリスマとなりました。ガボールの生前物というのは、彼が生きていた頃にこのガボラトリーで製作したアイテムであり、今となっては非常に貴重なものなのです。
ネットオークションや各種ショップなどでも、「ガボールの生前物」をうたったアイテムは、いずれも高値で取引されています。しかし価値あるものだけに贋作も非常に多く、特に初心者は注意が必要です。
創始者亡き後、ブランドは生産を一時停止しました。しかしガボールの作品への情熱やプライドを誰よりも理解している彼の妻、マリア・ナギーによって、ガボラトリーは復活します。
彼のスピリットを引き継いだマリアのこの「Gabor Inc USA」が発表する一連のコレクションは、ファンの間ではガボールの「生前物」に対し「現行物(品)」と呼ばれています。
夫の遺したマスターピースやデッサンをもとにし、その魂を忠実に守り続けている新生ガボールは、同ブランドならではの無骨で重厚感溢れる個性を十分に表現しています。
しかし、やはり「生前」と「没後」の作品のクオリティについてはファンの間でも意見が分かれており、ガボールなら生前物というこだわりを持つ人も少なくありません。
詳しいコレクターが見れば、スカルの作りなども生前物と現行物には微妙な違いがあり、すぐに区別がつくそうです。また一方で、特にガボールの生前物にこだわりがなく、現行のもので十分だという人もいます。
共産圏の東欧で育ったガボールは、何よりもファミリーの絆を大事にしたといいます。その彼の信頼する妻が遺志を引き継いで手がけた作品なら、それもまた新たな「ガボールの伝説」ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。